その上、私が二人の仲を知ってしまい、離婚騒動に発展したのだから、お義父様はかなり焦ったと言っていた。

事情を知れば知るほど、めちゃくちゃな結婚だと思うけれど、今となればそれも良かったのだと思う。

「おはよう、凌祐」

「ん~、もうちょっと寝かせてくれよ」

ベッドの中で寝返りを打つ凌祐は、重いまぶたを開けられないでいた。

「ダメだよ。仕事に遅れちゃうよ?」

布団をはぐと、凌祐は恨めしそうに私を見たのだった。

「今日は本当は休みだったんだよ。それが…」

「それが、国際会議があるから、急遽仕事になったんでしょ?」

そう答えると、凌祐は唸りながらようやく起き上がった。

「あーあ、たまには休みたいよな」

腕を伸ばし欠伸をしながら、凌祐は洗面台へ向かう。

確かに、ここ最近全く休みながない。

仕事を辞めて家にいると、それすら申し訳なくなって、せめて家事くらいは…と、毎日凝ってやっているのだ。

だから、朝ご飯をしっかり作って凌祐を起こすのが、私の仕事の一つになっていた。

そんな毎日は、今まで想像すらつかなかったけれど、こんな幸せな事だったとは。