圭祐の秘書としての仕事は、あっという間に終わってしまった。

正直、圭祐と離れるのは寂しい。

それを伝えると、「兄貴に誤解される言葉は謹んで欲しいな」と笑われたのだった。

私の秘書解任の理由は、凌祐が私に仕事を続けて欲しくない理由と同じもので、それを圭祐にもお義父様にも、そして私のお父さんにも伝えてあったのだった。

“あの日”、凌祐と圭祐が揃って不在だった日に、みんなで集まりその話をしたというわけらしい。

だから、私が離婚届を突き付けた事も、それの原因は何かも、そして凌祐の気持ちもみんな知っていたのだ。

それを知れば、あの日の圭祐の態度も納得出来る。

やけにアッサリと秘書の解任を伝えてきたのは、全ての事情を圭祐は知ったからだ。

そして、もう一つ、驚きの発見は、お義父様は凌祐と佐倉さんの仲を知っていたという事。

話を聞かされていたわけではないけれど、全てお見通しだったらしい。

その事で、私はお義父様に謝られたのだった。

私が秘書の仕事をお願いされたのは、そんな二人に対するお義父様なりの“制裁”だったらしい。

佐倉さんとの仲を猛反対していたお義父様は、秘書の仕事すら奪うつもりだったらしいけど、それは叶わなかった。