煙草の匂いは恋の始まり




早瀬先生は、自分の名前が呼ばれると立ち上がり、軽く会釈をした。


遠くて顔はよく見えなかったけど、
すらっとしてクールな印象を受けた。


この人が、人生で最後の担任なんだ……



そしてその姿は、自分でも気付かぬうちに脳裏に記憶されていった。





始業式が終わり、各々教室に戻りはじめる。

私は上手く説明できない何かに心の中を支配され、もやもやとした心持ちでいた。


すると、絵里子が話しかけてくる。


「担任の先生、まみちゃんじゃなくて残念だったね。結構落ち込んでる?」

「…ちょっとはね。しかも、新しい担任の先生全然知らないし。どういう人なんだろうね?」

「うーん……でも、女の子から人気出ちゃいそうじゃない?」

「ああ…。」


早瀬先生がかっこいいということなんだろう。

年だってそういってないだろうし、
ああいう人は同世代の男子には見られないから人気が出るのも当たり前かもしれない。


私はそんなことを考えながら早瀬先生の姿を思い出していた。