ちらり、と右端を見ればそこだけがら空きだった

そこを通り抜けてダッシュで逃げてやろう


しかし、私が通り抜けようとした瞬間、別の男が道を塞いだ



( あああああああ、他の逃げ道いいいい )

目の前で逃げ道を塞がれ、私はもう泣きそうだ


すると、勘づいた男が近寄ってきて


「ちょっとー、逃げるとかやめてよ?」


その一言で、道全体を塞がれる



生憎、世間は冷たいもので
金髪男(しかも5、6人)に絡まれている私を助ける人なんていない

みんな見て見ぬふりである

中には、わざわざ横断歩道もないのに道路を横断して隣の道に行ってしまう人までも。



「遊ぼうよ。桜ちゃん?」


男が下品な笑みを浮かべて私の名前を言った

驚いて名前を呼んだ男を見ると
男の手の中には学生証

いつの間に盗んだんだ、この人


「えーっと、城咲 桜ちゃんってゆーの?
顔だけじゃなくて名前も可愛いんだねぇ」


男はニタニタと笑いながら間延びした声で言う


「っ返してください!」


学生証に手を伸ばすが相手は男

もちろん、届く筈がない


「ちょっとちょっとー、そんなに怒んないでよ
まだ見てるんだしー」


それを面白そうに男は笑うと学生証を上に掲げて学生証を読んでいく