教室に行くはずなのに何で体育館の方に歩く人がいるんだろう。
真っ直ぐ教室に行って欲しい限りだ
進みにくい理由の半分は逆戻りして歩く生徒のせいでもある
葉月の場合はそんな輩が道を塞ごうものなら舌打ちをするか、押すなどして道を開くが
私には、そんな行動ができるほど気が強くはない
必死に波に飲み込まれないように、人混みを掻き分けていくだけだ
「桜っ、置いてかれるよ」
「う、うん。」
前の方から澄麗がそういうので焦って進もうとした
___ドンッ
右肩に衝撃が走る
葉月達しか見てなかったので人に気がつかず、ぶつかってしまった
「あ、ごめん!!」
ぶつかった相手らしい人が声を上げる
顔を見れば綺麗な顔の男子生徒。
色白な肌と黒髪が対照的だ
「こちらこそ、すいません」
軽く会釈して足早にその場を去る
葉月達は少し離れた場所に行ってしまったので急いで追いかける
しかし、残念ながらこの人混みだ。
進もうにも進めないし、地道に距離を詰めていたら確実にはぐれる
そうこうしているうちにもどんどん距離は離れて行く上に人混みは酷くなる。
(やばい、やばい、やばい)
若干パニックになりながら足を踏み出した時だった
パシッと誰かが私の手首を掴んだ
驚いて真正面を見ると夕哉が立っているものだから更に驚く

