ざわざわと落ち着きのない声が体育館に響く
ただでさえ多い生徒を押し込んだようなここだと必然的に座席は満員になる
保護者席の確保が優先的なこの学校では、生徒があまりに多いと立つ人が出てくる
つまり、席は早い者勝ち。
私達は余り物組として体育館にやってきたので立たされているわけだ
体育館の舞台の上では頭が輝く教頭の演説がそろそろ終わるころになった
同じように立っている生徒からはため息が漏れる
立ちっぱなしのまま長話を聞くのは、足が疲れてくるものだ
『では、出入り口に近い人から__....』
スピーカーから移動の指示が出される
立っていた人も出入り口に近い方から移動していく
「あー、疲れた」
後ろで澄麗があくびをして言う
顔はゲッソリとしていて生気を吸い取られたように見える
葉月も私も苦笑して出入り口に向かって歩いた
*
体育館から出て、体育館前の廊下を歩いた
女子の笑い声に男子の騒ぐ声があちらこちらから聞こえてきて、ノイズのように響く
それに比例するように人も増えていくので、あっという間に人混みに揉まれてしまう
(人、多すぎ....)
はぐれないように必死に葉月達に着いていくものの、進みにくい
度々、葉月達が人の波に引っかかって止まることが幸いだ

