大通りを夕哉と歩いていると徐々に学園の校舎が見えてきた
進む度に校舎は大きくなり、敷地を囲む様に建っている壁も見上げるほどの高さになってきた
壁にそって歩くと存在感を放つ門が現れる
アンティーク調の正門をくぐり抜け、目に入ってきた光景に絶句する
中等部、初等部とはある理由で敷地が全く別の場所にある
進学校で名の通るこの学園は小・中・高一貫の名門で土地の広さも尋常じゃない。
___はずなのだが。
クラスが書いてある掲示板の前にはその土地辺りを埋めてしまうような人だかり。
その辺りの土地だけがとても狭いかのようにも見える
つまり、掲示板が見れない。
「....どうする?」
「人が全て居なくなるまで待つ」
「私達遅刻コース真っしぐらじゃん」
夕哉はうーんと腕を組む
これじゃあ、初日から遅刻して笑いのネタだ
どうしてもその道だけは避けたい
私も夕哉と同じように唸って考えていると携帯が鳴った
どうやら着信音からして電話
液晶を見るとそこには『葉月』と友人の名前が表示されていた
「はい、もしもし?」
『おはよう、桜。唐突だけど今どこにいる?』
「校門の前なんだけど人が多くて掲示板見れない」
『あ、ならちょうど良かった。私達も桜と夕哉のクラス見てきたから』
「え、ほんと?」
『ほんとほんと。じゃあ高等部の昇降口で待ってるね』
「うん、ありがとー。じゃあね」
携帯を耳から話して通話終了ボタンを押すと、夕哉がひょいと頭に顎を乗せてくる

