「一番の理由は桜が大切だからだよ」


そう言ってニッと笑った

そして手を離すと何事もなかったかのようにスタスタと歩いていく

私はその後ろ姿を呆然と見つめた


「は、何、あれ」


ぼそっと呟くように言う

その言葉が鍵となったかのようにさっきの事が一気にフラッシュバックしてくる


「う、わ」


バッと顔を両手で覆って隠した

じわじわと熱が集まる顔はきっと赤い

何これ。分かんない

痛いくらいに胸はバクバクと動悸する


( あぁ、心臓がうるさい )