「せ、先輩!」
よかった。神崎先輩はまだ下駄箱で靴を履きかえてる最中だった。
「何?今日帰れないって言っただろ?」
冷たい視線が私に注がれる。
「いえ、あの、文化祭まで私のクラス、毎日練習で…その、一緒に帰れなくなりました。
朝も練習で、お弁当も作れなくて…」
「別にいいよ。てかさ、弁当作ってこなくていいっつったじゃん。」
「そ、そうでしたね。でも私が先輩に作りたいので!」
よしっ!
今日は自分の気持ちをはっきり言えた。
と私が喜んでると、
「隼人まだ〜?」
校舎の玄関のほうから女の子の甘ったるい声が聞こえる。
チラリと声のした方を見ると、靴を履き終えて待っている玲奈先輩たちだった。


