あの後は話題が弾むこともなく、また無言の時を過ごした。




一緒にいられるだけで嬉しいからいいんだけど。





でも、どことなしか機嫌も悪かったような…?





気のせい?





そういえば!今日は先輩が家まで送ってくれるんだよね。




たった5分なんだけど。




カフェを出る時に「家どこ?今日送る。」って神崎先輩は言ってくれた。




今日はなんてミラクルな日なんだろう。





「リナ、着いたぞ。」




うっ、やっぱり5分は早い…。




もっと家が遠かったら良かったのに。






「はい。あの、送ってくれてありがとうございました!」




「いいよ。…アイツも送ってたし」





「えっ?何か言いましたか?」




今の先輩の一言は小声なのもあり、風にかき消されてしまった。





「何でもない、またな。」




ポンッ




え!




思いがけない出来事にしばらく私の体が固まる。




いま神崎先輩、私の頭ポンッでしたよね!?





前を見るともう神崎先輩は遠くまで歩いて行ってて、表情は見えない。




いまのって気まぐれだよね…きっと。




私が好きなの知ってるのに先輩ってずるい…。