ここ一週間働いてみて
この菓子事業企画マーケティング部の仕事がだいたいわかった。
仕事は主にほかの部署の企画書を印刷・作成することだ。
一見順序が逆なようにおもえるが、これであっている。
作成した企画書はデータで送られてくるため
自分で作る必要がない。
これはひどい。
名前にある菓子を企画もマーケティングもしていないじゃないか!

「あ、やべ。ホッチキスの針きれた。」

「マジで?俺も。」

「…。」

「…。」

部長と月島さんが無言で佐藤さんをみた。

「何?こっちみてもなんもないよ。」

そう末照れいって箱を振って中身がないことを証明した。
月島さんは大きく舌打ちをすると席を立った。

「ついでに印刷できた資料持ってきて」

「栄ちゃんがインクきれてるからかえといてって」

「くそ、また俺かよ」

大きく舌打ちして月島さんはオフィスをあとにした。

「月島やっさし~」

「栄の名前だしたら一発だな。」

ふたりは仕事がないからと失敗した紙で遊びだした。
これが社会人のあるべき姿なのか。
名ばかりとはいえ、菓子事業企画マーケティング部の名が泣くぞ。
まずはこの体制を崩さなければ。

「あの、」

俺は声をあげた。






「皆さんは自分の手で商品を作りたいと思わないんですか。」













今までふざけていた空気が一変に凍った。