【BL】部長×お菓子×部下

「この商品は食感を出すためにあえてクッキー生地をつかっていて…」

「確かにな。やっぱりアイデアが重要か。例えばこれをこう…」

会社帰り、俺と部長は最近俺の家で自社他社問わず、商品研究をおこなっていた。
菓子部には過去出した商品の企画書が設立後のものなら全て置いてある。その中には今でも人気なものだってたくさんある。
意外と宝の山だ。
とはいえ…。

「いくらアイデア商品をだしたところでいちゃもんをつけられるだけなんですよね。」

「だな。そこをどうかいくぐるか…。」

いつもそこで話がつんでしまう。
お互いに思い悩んでいると彼女がやってきた。

「あ、ごめんなさい。お邪魔だったかな。」

「ううん。大丈夫だよ。」

「彼女?」

「ええ、まあ。」

ここ最近、お互いにあう時間が取れないということで、毎週木曜は彼女がやってくることになっている。
部屋も余っているので、そろそろ同棲してもいい時期なのかもしれない。
少なくともそれは彼女の大学卒業後の話だ。
まだしばらく時間はある。

「かわいいな~。」

「彼女、中上常務の娘ですよ。」

「うっそマジで!?」

下手なこといえねぇ…といそいそお行儀よく座り直して机の上を片付けだす部長。
…そんなのするタイプじゃないだろ、あんた。

「コンビニで買ってきたものでごめんなさい。頭使うときって甘いもの必要だと思うので…。」

「あ、そんなお気使いなく…」

「いいえ、いつも椋くんがお世話になっているお礼です。」

「そうですよ、吉原さん。気にせずさっきみたいにくつろいでくださいよ。」

「お前はいつも一緒だからそんなこといえるんだよ…。」

彼女が奥のキッチンから差し入れをもってきた途端に借りてきた猫のような部長に腹が立った、