「…。」

「うそやろ、栄ちゃん!?そいつにそれ渡すん?」

「栄…、お前」

オフィスのドアを開けると、栄さんが立っていた。

「…これ。」

「栄…。」

初めてしゃべったとこみた!
っていうか、これ…何?
栄さんから手渡されたのは一枚のディスクだった。

「…インストール、して。」

「は、はい。」

俺はすぐに自分のパソコンを起動させると、ディスクをいれた。

「栄さん、これ…。」

「…。」

栄さんはもう自分の仕事にもどっていた。

「これはな、対栄コミュニケーションソフトだ。」

「コミュニケーションソフト?」

なんだそれ。
部長はどこか誇らしげだ。

「メールとかでいいじゃないですか。」

「メールは、な…あいつ嫌いなんだよ。必要最低限はしてるけど。」

なんでだろ。
メールなんて仕事でたくさん使うのに。

セットアップが完了すると)『チロン』っと通知音が響いた。

「まぁ開いてみろって。」

カチッと通知をクリックするとソフトが起動した。
え?ちょっとまって…これ。

「かわいいだろ?」

目の前の画面にはメルヘンの国が広がっていた。