ー10年前の夏。
俺たちは蝉より先に泣いた。







関東大会準決勝。
この日、テニスの名門校である青陽学園は
全国への切符を掴みそこねた。
相手は全くの無名校だった。
俺たちの中に油断と慢心があったのだ。
無名の公立校
しかも過去に暴力沙汰で出場停止になったことが何度かある。
そんな学校正直カモだと思っていた。

『だからこそ気を引き締めろ』

そう部長が言ったことが皆耳から抜けてしまっていた。











結果は1-3。
全敗はしなかったものの、部長の吉原先輩に回すことはできなかった。