「け、け、け、喧嘩ああああああああああああああああ!?ありえないから!!!何で相手役の子と喧嘩すんのよ!!!!気まずくなるのなんて目に見えてるじゃない!!!!!」

「…知るか。」

「知るかじゃ無いわよ!!!!今週中には絶対仲直りして、沢嶋さんを主役に戻してよね!!!できなきゃこのクラスの出し物無しになっちゃうんだから!!!!!」

むしろそのほうがありがたいけど。

『川村に言ってもどうにもならないじゃん!』

あの言葉が脳裏にこだまする。

「…ちっ…。」

あいつは俺が高橋に蹴り飛ばされた時、俺のために本気で高橋に怒ってくれた。

『川村は悪くないよ!!!!』

『川村に謝って!!!!!』

真っ赤な顔して、自分でも後悔して大泣きするほど怒ってくれた。

ころころと顔を変えて、子供っぽくて、無邪気で泣き虫で、

俺が『俺のために怒ってくれたのはお前が初めて』って言った時は

『大丈夫』とキスをくれて。

…なんでキスが必要なのかは理解不能だけど

俺だけがアイツに救われすぎな気がして、だから、アイツが困ってる時は一番先に気付いて、助けてやろうって心に決めてた。

だから、アイツが悩んでるの見て、助けてやりたかった。

なのに、話せないとか、話したってどうにもならないとか言われて、はっきり言って、
自分が情けなかった。

俺は大切な人に悩みをぶつけてもらえないんだって、信用されてないんだって、助けてやれないんだって、すごい悔しくて。

アイツは俺のことを助けてくれるのに。

俺はアイツを助けてやれないって。