夕凪は、今まで桜田ととても仲良くしていた女子だった。

登下校も同じで、休み時間もいっつも喋っていた。

女子ってそんなもんなのか。

「つか、ムカついてたんだよねぇ~。自分が可愛いとか思ってるアンタ!!!」

「学年一モテるとか思ってんじゃないの!?」

「つか、人殺しはこの教室から出てってくださーい!!!!!」

出ーてーけ、出ーてーけ!!

と、女子が手拍子しながら言う。

「……やめて…あげて…ください。」

俺は確かに沢嶋の消え入りそうな声が聞こえた。

その間にも女子は出てけコールを続けている。

その時だった。

後ろから急に突き飛ばされた。

「っ!?」

思わずバランスを崩し転びそうになる。

なんとか体勢を持ち直して、後ろを振り返って、後ろの人物を睨みつける。

「…っテメエ何すんだよ!!!」

そこには、他クラスの男子が立っていた。

名前は確か、高橋光希。

男子バスケット部のエースだ。

「…オメエか…川村って。」

「…だから何だよ。」

俺らの声に反応してか、女子が出てけコールをやめて、シンと静まり返った。