side修也

迷惑にも程がある。

第一、演技なんて幼稚園のお遊戯会以来やったことがない。

「川村が王子様やるならやる」

って、馬鹿だろ。

あいつ馬鹿だろ。

聞いてるこっちが照れるわ全く。

とりあえず『ツンデレ』扱いされた俺は教室を出て、男子トイレで頭を冷やしている。

磨き上げられた鏡に映る自分の顔は真っ赤で情けなくて、思わず両手で顔を覆った。

って俺は女子か!!!!


とりあえずトイレを出て、教室に戻ると、教室の中から大きな笑い声が聞こえてきた。

…何だ?

教室に入ると、そこには桜田を囲うようにして女子が立っていた。

…え。何この展開。

「…ねえ、美弥、あんた、沢嶋さんを殺そうとしたんだって?」

一人の女子がそう言って、立っていた桜田を突き飛ばした。

その衝撃で桜田は床に倒れ、ドッと笑い声が上がった。

よく見ると、囲まれて床に倒れている桜田のそばには、沢嶋がおろおろとした表情で立っている。

沢嶋は俺に気付いたようで、今にも泣きそうな顔でじっとこっちを見つめている。