「……んで、これが川村の分ね。」

突っ伏している川村の頭に置かれた台本は、私より比較的薄いです。

「か、川村、交換しよ。」

「ちょ、ちょっとやめてよ!!!!男が女役やるとか…歌舞伎じゃないんだから!!!気持ち悪い!!!」

川村の台本を掴みかけている私に、新田さんが焦った様子で叫びました。

「…そんなに難しくないから!ね?まだ時間もあるし。」

「…時間……いつまで…?」

「…来月の、二日。」

「……あと一ヶ月もないじゃん!!!!」

正確には23日しかないですよ。

「か、川村…。」

「…自分で言ったんだろ。俺も巻き込んで。」

川村は自分の台本に目を通しながら、ため息をついてます。

何ため息ついてるんですか!

その台本の薄さで!!!!

「……来週から演技の練習始めたいから、実質今週中には覚えてもらいたいな。」

「…な!?」

新田さんそんな無茶なこと言わないで!!!