それからのことはよく覚えていない。

気が付いたら僅かに震えている沢嶋に覆いかぶさっていた。

沢嶋がゆっくりと目を開く。

「…間に…合った…。」

うっすらと涙の浮かんだきょとんとした大きな瞳が俺を捉える。

「沢嶋…怪我…無いな?」

「え…あ、うん!!!!!」

沢嶋に怪我がないことを確認すると、急にふつふつと桜田に怒りが湧いてきた。

そして俺は振り返り、桜田に怒鳴りつけた。

「ふざけんなよ!!!!!お前!!沢嶋には何の罪もねえだろ!!!!」

「だって川村がいけないんでしょ!!!!!」

は!?

責任転換もいいとこだよ!!!!!!

「川村が、沢嶋さんを気にするから!!!!あたしが好きだって言ってるのに、それなのに沢嶋さんばっかりだから!!!!」

「だからって今お前は沢嶋に何しようとしたんだよ!!」

「…べ、別に殺そうとなんてしてない!!ただちょっと脅してやろうと思っただけだよ!」

桜田は、顔を真っ赤にしながら反論してきた。