「…川村…良い人なんだね。」

「…は?」

「ほら、小動物に好かれる人って、良い人ってよく言うじゃん?しかも、警戒心が強いチャコが人間に抱っこされてじっとしてるんだもん。きっと川村、良い人なんだよ。動物には分かるんだね。」

私が言うと、川村は黙り込んでしまいました。

「…あ…ごめん、嫌な事言った?」

褒めたつもりだったんですけどね。

「…あぁ…ううん、いや…俺の事良い奴、って言った奴、初めてだったから。」

「…笑った。」

「は。」

「いま、川村ちょっと笑った?」

「…何。」

「…ねえ、いま、笑ったよね?」

川村がちょっと笑った!

「………。」

無愛想君はそれ以上何も言ってくれなかったけど、

なんかちょっと最悪だったはずの日々が、ちょっとだけど、ものすごくちょっとだけど、いくらかマシになるような予感がしました。