少しずつ寒くなりだした10月。
「ヒャアアアア寒い」
私の隣を歩くのは1つ上の先輩、河合 歩夢。
「寒いねぇ。体育とか寒すぎて俺寝てた」
黒い綺麗な髪が私の隣で靡く。そしてむーくんの綺麗な横顔に私は引き込まれる。
「そういえば今日教室から夜宵が一生懸命外走ってるの見えたよ。チビが一生懸命走ってる姿は不恰好でしたごちそうさま」
「あぁ、田中先生から走らされたの。あくびしちゃったから」
うちの学校の鬼のような体育教師は欠伸1つでグラウンドを3周走らせる。
下向いて、欠伸したのにね、そう笑うと
田中の目はいいからなぁ、なんてむーくんも笑う。