夏空の下をキミと駆けて

ネットの中のボールを
全てカゴに移し終わり、
あたしが持っていこうと手を伸ばす。



…と、視界に入ってきた手。



「あー俺が持っていくけん、戻っとっていいよ。」



__また、胸がきゅうっと締めつけられる。



凛はいつも優しかった。


…そんなとこ、昔っから
全然変わらんね。



でもその度にあたしが切なくなっとるの
知らんやろ?



溢れ出す、君への想い。



優しくせんで。



なんて言えない。


冷たくされたら
あたし、泣きそう。



でも優しくされるたびに、


こうやって切なくなる。




そんなこと全然知らんで
鼻歌を歌っている目の前の幼馴染。




…この野球馬鹿が。