夏空の下をキミと駆けて

凛の手から放たれるボール。


あたしはそれを、右手も添えて
しっかりと受け取る。


「えいっ」

今度はあたしの手から。

「硬式ボール投げると上手くなったな」

「そりゃ、毎日誰かさんたちの
暴投拾ってたらこうなりますよ」


始めのうちは、

ソフトボールと球の大きさが違って
感覚がつかめず変なところに投げていた。


でももう今は、硬式ボールだって
おてのもの。


懐かしい…。


あの日、公園で
凛と遥樹くんとしたキャッチボールが
頭をよぎる。


「懐かしかな」

あたしが思っていたことと同じことを
凛が言った。


「未結が引っ越してきた日も、
兄ちゃんと3人でしたよな」


凛、覚えとったの…。

そんなこと覚えてないと思ってた。


「…そう。あれで、あたし野球大好きに
なっちゃってさ。
小学生んとき、お父さんに
本気で野球部に入りたいって
頼んだこともあるとよ」


あのときは、猛反対されて、
結局バレー部に入ったんだけど、

やっぱり野球より好きになれなくて
やめちゃったんだよね。