夏空の下をキミと駆けて

凛が自分の席に戻っていくのを、
何気なくポーッと見つめていた。

左手にはさっき貰ったアクエリアス。
よく見たらゼロじゃん。これ。
何これ気遣ってんのかな?

いや、正直複雑なんですけど…。


「あー優しいなぁ凛は。
そんなところがだいす…むぐっ」


いきなりあたしの横に登場したのは
中学からの親友の篠原 璃子。


すぐさま嫌な予感がしたので
璃子の口を塞いだ。


「何言いよっとっ‼
…てゆうか好きじゃなかし…」



あたしの言葉を聞いて璃子は笑う。


「なん、まだ言いよったと?
いい加減素直にならんぎ、
ほかの娘に取られるぞー」



「…えっ!?」


璃子がさらに近寄り、ずいっと顔を耳元に寄せた。


「凛がモテん訳なかろ?
あいつ野球上手かし、顔もよかし、性格もいい。条件は揃っとる」


嘘……。

凛がモテてるなんて初耳だ…。