夏空の下をキミと駆けて

「おまえのなまえ、みゆってゆうとな。」


お母さんに買ってもらったアイスを
食べながら、凛が横目であたしに言った。


「うん。あいざわ みゆ。」


「あ、家、ここです。」

隣を歩いていた遥樹くんが指差したのは、
あたしの家の目の前だった。



「え?ここ?」


お母さんも少しビックリしてた。


「みゆんちとちかくだね!」


お母さんが凛の家のインターホンを押す。


「はーい!」


玄関から出てきたのは、凛のお母さん。


この頃はよく分からなかったんだけど、
凛はお母さん似。


「…あら、こんにちは…。
遥樹、凛、もしかしてなんかやらかしたとね?」


「はぁ!?違うよ‼」

「いや、違うんです…。
うちの娘が、遥樹くんたちと今まで遊んでたみたいで。
帰りが遅くなってすみません。」

真っ先に否定した凛のあとに、
お母さんが頭を下げた。



「なんだそうですかぁ〜。
またうちの子がなんかしたとかと…。
しかも女の子やったけん焦ったあ」


凛のお母さんはとても人懐っこくて
笑顔が可愛い美人さんだった。


「あの、私たち今日向かいの家に引っ越してきたんです。
これからよろしくお願いします。」


お母さんに
未結も挨拶しなさい、と言われ、

「あいざわ みゆです。」
とお母さんの真似をしてお辞儀をした。