「よっ、健斗。おはよ」

そう言ったのは、雅人だ。

悪いけど、今は雅人の顔を見たくない。

だって由梨が雅人の事が好きだから……

そして雅人も由梨の事が好きだから……

2人は、両思い。

そして俺は、由梨に片思い。

この三角関係がいつまで続くんだろうか?

出来れば早く終わって欲しい。

俺は、雅人の事が羨ましくて憎くて仕方なかった。

でも、それは2人の問題だから俺が口挟む権利がない。

ただ、両思いなのに付き合わないとかがしれったい。

だから早くどっちかが由梨に告白すればいいのにとか思ってたりする。

どうせ由梨とは、結ばれないから……

由梨と雅人が付き合ったらちょっとは、気持ちが軽くなる。

だから早く付き合えよ。

「おはよ……」

俺は、そっけなく返事した。

「健斗、無愛想だな。今日から新学期だな。これからも宜しくな」

「おお……それより雅人は、由梨に告白しないのか?」

俺は、サラッと言った。

「ああ、告白はするよ。今は、言わないけど……って言うか健斗、本当にいいのか? 由梨ちゃんの事……」

雅人が言った。

俺の事何か気にするなよ。

余計惨めに見えるじゃねぇか。

俺は、もういいんだよ。

由梨の事は……

「そっかぁ。頑張れよ。って言うかもう俺は、由梨の事はいいから。だから遠慮せず由梨にアプローチすれよ」

俺がそう言うと雅人は、「そっかぁ。ありがとな」と言った。

これでよかったんだと思う。

これで2人は、くっつく。

そう思ってたのに……

俺は、由梨の本当の気持ちに気づかなかった。