狼男〈オオカミオトコ〉

【魔美化界】



ローイヤルが自己紹介の後、私に椅子に座るように促した。

座った木の椅子はミシッと音を立てた。


ローイヤルはスズカに目を向けた。


な、何が始まるの⁉︎
まさか黒魔術⁉︎

そんな私の予想とは異なり、
スズカがポツリ、ポツリと話し始めた。


内容は私が何故か突然やってきてしまったこのヘンテコな世界のことだった。


「魔界に昼はないんです。
空にあるのは緑の月だけ。



魔界では今、妖精エルフと神が作った“魔物”の戦争が100年続いています。


昼の日の光は長引く戦争の噴煙でかき消され、月は100年前に聖戦布告の証としてエルフが緑に変えてしまいました。

魔美化界(マビカカイ)とは魔界の戦争反対集団のことで、

魔界を美化した世界…の略です。」


そこで私は美化運動かっ!と突っ込みたくなった…が、さすがにこの真剣モードの中では言えなかった。


「悪く言えば、戦争から逃げて来たロクデナシの臆病者たちだよ。」

とローイヤルが付け足した。