私の言葉に、良明くんからの返事はない。

電話は繋がったまま、お互い何も言わなかった。

しばらくして、良明くんが呟く。


『ど…した?なんかあった?
俺としては嬉しいけど……なんかあったならさ、話してみ?
なんの役にも立たないかもだけどさ』


心配してくれてる。

顔が見えてなくてもその想いが凄く伝わってくる。
……嬉しい。


「なんにもないよ。ただ、付き合ってみるのもいいかなって思ったの」


『……そっか?無理してない?』


「大丈夫、無理なんてしてないから」

その言葉の後、私と良明くんは付き合うことになった。



そして私は考えた。

冬馬兄ちゃんが羨ましがるような恋人同士になってやろう、と。

冬馬兄ちゃんを見返してやりたい。

自分はもう子供じゃないんだ。


そう思わせる為に。




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