「“私と付き合ってくれませんか”って突然言われて……それで今、“付き合うことは出来ない”って説明してるんだ」


説明。

付き合えない。


冬馬兄ちゃんはそのメールをしてたんだ。


「そんなの無視すりゃいいじゃん」

麻実ちゃんの言葉に冬馬兄ちゃんは真剣な目で応える。


「美和に何かあったら困るだろ?
向こうは同じ学校の一つ上なんだし」


私のこと、心配してくれてるんだ。

だから「聞かないで」って言ったんだ。


きっと、心配かけたくないって思いがあったから。


「美和には私がついてるから大丈夫なのに」


麻実ちゃんのそんな言葉を嬉しく思いながら冬馬兄ちゃんの顔を見る。


そんな冬馬兄ちゃんは麻実ちゃんを見つめ、そして微笑む。



「お前のことも心配なんだよ?麻実」


妹を思っての発言だ。



「とりあえず、数日のうちに直接会って断るつもりでいるから。
大丈夫だから心配しないで?」


全員の顔を見渡し、冬馬兄ちゃんはまた微笑んだ。