冬馬兄ちゃんの車に乗る。 みんな黙ったままで、誰とも目を合わせようとしない。 私と良明くんは手を繋いだまま後ろの席に座り、麻実ちゃんは助手席だ。 「俺の家で話をしよう」 冬馬兄ちゃんのその言葉で今私たちは車に乗っている。 「今日は親父、帰らないみたいだから」 誰に言うわけでもなく、ぽつりと呟くお兄ちゃん。 「うん」 返事をしたのは、私じゃなくて麻実ちゃんだった。