良明くんは話を聞いてくれる。

話してもいいんだ。と、嬉しかった。


「……今日ね、冬馬兄ちゃんと麻実ちゃんが一緒に歩いてるの見ちゃったんだ。
凄く楽しそうに歩いてて、なんか悲しくなって。

私、二人の関係全然知らなくて、色々なこと相談して、なんか……馬鹿みたいだなって、感じて」

ほんと、馬鹿みたい。

何も知らなかった自分、気付かなかった自分、


情けない。



「……二人には確認したの?
たまたま一緒になって歩いてただけかもしれないし……」

「麻実ちゃんは“大事な人との約束”だって言ってたんだよ?
なのに冬馬兄ちゃんと一緒に居て……聞かなくたってわかるよ……」


麻実ちゃんの大事な人は、冬馬兄ちゃん。

それ以外には考えられない。



「でも聞いた方がいいよ。
もし本当に付き合ってるとかそうゆう関係だとしても、本人たちに聞くべきだよ。
納得の行くまで聞かなくちゃダメだ」


聞けない。聞きたくない。
もう何も聞きたくない。


「俺が傍に居るから」


「……」


「傍に居るから」




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