『ごめん、別れよ。』
「……え?」
『それじゃあ、そういうことで。』
立ち去った彼の後ろ姿を、私は呆然と見た。
それはあまりにも突然のことで、私は理解するのに時間がかかった。というか、信じたくないという気持ちが強かった。
順調だと思っていた交際。
そう思っていたのは、どうやら私だけだったらしい。
彼は驚くくらいあっさりと別れを口にした。理由もなにも言わずに。納得なんかできるわけがない。だけど、私にはもう一度彼に迫る勇気なんてなかった。
初めての、彼氏だった。
———そんな彼と別れたのは、高校三年生の秋。