クレヨンの『数学魔法』入門

「それもあるけど、メインは魔法の方だよ?」
「マホウ…………、魔法!?」
 驚く反面、どことなくバカにした感じが顔で出てしまい、康太はそれを見て苦笑い。

「魔法って夢見すぎ君ですか?」
「ユメミスギ君?ワイルド的なあれ?」
「ハァ?」
「まあいいや。それよりクレヨンは魔法が使いたいから数学魔法部に入ったんじゃないの?」
「え…………それはその………何と言うか………………ですね」
 紫音がこの部活に入った理由。
 一つは前から数学が好きだった事。もう一つは言わずもかな、同じクラスで友達が一人も出来なかったからという理由だった。

「と、とにかく魔法とかそんな中二みたいな事言ったら笑われますよ?」
「・・・・・」
 すると康太はカバンからメモ帳を取り出し、凄い勢いで何かを書いていた。

「それってピタゴラスの定理ですよね?」
「・・・・・」