クレヨンの『数学魔法』入門

「お待た〜、はいそれとこれ。ぱっしょんふるーつ大原のケーキ。食べた事ないでしょっ」
「ハァ………………」
 あんな事以降、この店の事を避けていた二人。どんだけ無神経なんだと思った紫音だったが、山岡ハウスには悪気がない。

「でさ〜、早速依頼なんだけど〜、実はちょっとトラブルがあって解決してほしいんだ〜」
「トラブル?」
 紫音はそう言って首を傾げている横で、美津子はいつの間にか康太同様メモを取り出しており、その詳細を記録していた。

「実はさ〜、契約しているとこが二つあって、納期になっても品物こなくってさぁ〜、マジ迷惑してんだよね〜」
「原因は何です?」
「さぁ〜〜、オレっち見たく神が降りて来てくれないんじゃない?」
「は、ハァ……………」
「で、調べて来てくんない?オレっちデザインとかで忙しいから」
 オレっちという言葉にイラっとしている紫音。