クレヨンの『数学魔法』入門

 それでも熱狂的なファンは今か今かと待っており、紫音のクラスでも話題に上がっているのを、遠くから聞いていた。

「クレヨンが行かない……………なら、私だけで…………」
「メイプルちゃんメイプルちゃん、私も行きます。行かせていただきます」
「…………え?」
「はい行くよ」
「・・・・・」
 クレヨンって…………。
 とは言わなかった美津子は学生カバンを持ち、紫音と一緒に学校を後にした。


 二人が行く場所は都心近くにあり、紫音がいる高校からは少し距離があるため、電車やバスなどを乗り継いで移動。
 その道中、何やかんやあったのだが、特に道に迷う事なく無事に依頼人が住んでいる辺りまで到着。

「ここが依頼人がいるところか……………。高!」
 首を曲げて見えるその場所は、高いタワーマンション。それもこの辺では1番高いようで、周りにあるマンションとは一線を引いていた。