クレヨンの『数学魔法』入門

「もしかして……………、犯人って言うのはあさ………」
「ウタちゃん待った。後は私が…………」
 食い気味で話に割って入った紫音。席をすーっと立ち上がると、息をハァーと吐く。

「この事件の真犯人、それはあなたしか考えられないんですよ…………あさみさん」
 どこかで聞いた事あるようなセリフであさみに詰め寄る紫音は、自白するのを待った。しかし、返ってきたのは呆れた顔。

「ごめんなさい。その推理間違ってます」
「え!?」
「私、数学魔法が使えるようになりたいから勉強した事があったの、難しいからやめたけどね。それにあの公式は解こうとした事もあったし…………」
「え?本当ですか?」
「本当に本当」
 いいからクレヨンはもう座ってくれない?
 康太に助けられた形で、半ば強引に座らせられた紫音だったが、内心は助かったという気持ちから、ホッと安堵。