クレヨンの『数学魔法』入門

 そのランクの定義として、上にいくほど社会に与える影響は強く、それによって戦争にも発展しかねない事。
 何より、ランクBまでしか使えない康太にとって、Aランクの数学魔法を使えるかもしれない相手と出くわすため、条件は最悪な事など。


 え?何?何て言った?
 先ほど食べたケーキで眠気に誘われていた紫音。とりあえず、へぇーとかうんうんと適当に返し、聞き流す。

「………で、話は元に戻しますが、一つ聞いていいですかあさみさん」
「な〜に村上君?」
「あれってベーテブロッホの定理っていう公式なんですけど、どうしてあれを数学の公式ってわかったんです」
「え!?………………それは」
 あさみの見たのはあくまで公式。素人が見ただけでは、数学なのか化学の公式なのかはわからない代物。
 それは…………。
 鋭い質問に一歩引いたあさみは、口をもごもごと答えづらそうにしていた。