クレヨンの『数学魔法』入門

『確かこの辺りにあると…………………あ、ありました。カメラさんこっちこっち』
 テレビ局特有のワザを巧みに使うあさみ。この映像を見ていた康太は苦笑いを浮かべる。
 一方、紫音は康太のケーキをノドに詰まらせ、これまた康太のと交換していた紅茶をカブ飲み中。

『見て下さい!?これは数学の公式です。公式が途中まで書いてあります!!』
 カメラはその公式を最初から最後まで、きちんと録画されてはいたが、途中で書くのをやめたのか、式は途中までしか書いてはいない。

『果たしてこれは一体何なんでしょう?このナゾの数学の公式正体は……………。以上現場から松木あさみがお届けしました』
 ふう…………、やっと終わったな。
 何やら疲れた感満載の康太は、先ほどあさみに出してもらった紅茶のカップを手に取り、それを飲んで気持ちをリセットさせようとした。