クレヨンの『数学魔法』入門

 そんなこんなありながら、紅茶を二人の前に出すとあさみはホッとした顔になり、イスにすーっと座る。

「ごめんなさい話の腰を折ってそれで続きなんだけど……………」
「はいお願いします」
 やれやれという顔の康太は、一度閉じたメモを再度開いた。

「その不審人物の事なんだけど、帽子やサングラスとかしていたから、男か女とかわからないの」
「サングラス?」
 ケーキを頬張りながら話に参加した紫音。しかし、康太は無視して話を続ける。

「それより声とかは聞いてないですか?」
 開きっぱなしのメモ帳にようやく依頼内容を書きこむ康太。
 私…………どうしたらいいんだろう。
 何をしていいかわからない紫音は、あさみが出してくれた紅茶に口をつけ、せっかくだからとこの店のケーキを一口、また一口と口に運んだ。

「それじゃあ単独犯か複数犯かはわかります?」