クレヨンの『数学魔法』入門

「ごめんなさい。ケーキ持ってきた……………な、な〜にアナタたち」
 あさみは、二人のシンクロした動きに思わず吹き出す。

「どうしました?」
 いきなり笑われた紫音は目が点になってなり、口は開いたまま。
「何って……………ふふふ」
「もうー、教えて下さいよ」
 私たちなんか変な恰好なのかな?っていうか、制服だし。
 康太も何であさみが笑っているのかがわからないので、互いに互いにを見合わせるが、その行動が更にあさみを笑わせた。

「それじゃあ先にどうぞ。うちの自慢のケーキです」
 落としそうになったケーキを二人の前に置いたあさみは、沸騰したヤカンのあるキッチンの方へ。
 よし沸いている。
 慣れた様子でカップにパックに入れてお湯を注ぐのだが、左手にお湯がかかってしまった。
 当然慌てて左手を水で冷やしたあさみは、へええと笑顔でごまかす。