クレヨンの『数学魔法』入門

「ええ……………」
 あさみは本当に困っているのか、その返事には力がない。
「それでどんな人?」
 順序よく聞こうしない紫音。康太は紫音を宥め、静かにさせた。

「あ!お茶出してなかったわね。ごめんなさい」
「あ、いやあの別にだい…………」
 あさみはすくっと立ち上がると、この部屋に付いているキッチンの方に行き、ヤカンに水を入れて火を着火。
 ふ〜んふ〜んふ〜ん。
 鼻歌を歌いながら、棚から紅茶のパックを取り出し、用意しているかと思いきや、そのまま何故か部屋を抜け出した。

「・・・・・」
「・・・・・」
 やばい、また二人だ。
 紫音と康太はまた同じような考え浮かべ、二人はまたもや似たような行動をし、あさみが戻るのを待った。
 たった1分2分の事であったが、とにかくその時間は1時間位に二人は感じ、部屋は壁にかけてある時計の針の音だけ。