クレヨンの『数学魔法』入門

「囮?」
「え?オレから気を逸らすため、時間を稼いでくれてたんじゃあないの……………」
「も、もちろんだよ。そんなの当たり前すぎじゃん」
 あ…………、そうありがとうクレヨン。
 不自然に笑う紫音を見た康太。が、一緒に笑う事でそれをごまかした。

「あの風のおかげで機械は大破し………」
「どうしたの?オレの風は命中したか…………」
 紫音が指さすその先。それは攻撃が止んだあの高価な機械の方。
 なんと、機関銃が破壊された以外は引っかきキズ程度。しかも、シールドの部分は何のキズもなく、まるで新品同様。

「う、ウソ……………」
 康太は何が起きているか理解出来ず、その現実を受け止めれない。
 イヒヒヒヒ。
 機械の中からプリズマーのカン高い声が鳴り響き、康太はその声で我に返る。

「どうかな凡人ども?」
「プリズマー研究員、一体何を?」