クレヨンの『数学魔法』入門

「そうか残念。依頼を解決したらスイーツをご馳走してくれる約束だったんだけど」
「え!!!」
「規定で学生の数学魔法使いは依頼料とかもらえない事になっているから、それを聞いたオーナーさんが可哀相だからと言って………」
「あ、ウタちゃんちょっと待った」
 紫音はカバンからスケジュール表と書かれたメモ帳を取り出し、何かを確認。もちろん中身は予定などなく、真っ白。

「あ、あ、私の勘違いでした。今日はヒマです」
「ハァ?」
「せっかくだから私も行きますよ」
「う…………うん」
 ウソだよね。
 が、もちろん康太はそんな事を言えるはずもなく、二人は荷物をカバンに入れると部室を後にした。


 二人は学校から歩いて15分ほど離れた『ぱっしょんふるーつ大原』へ。
 康太は平然とケータイでルートを調べながら歩いて行くが、紫音は父親以外の男と始めて歩くという行為に、心臓がバクバク。