クレヨンの『数学魔法』入門

 紫音が見せられたその紙は、この部活に入部届けを届けにきた後、この紙を手に取るように言われた事を思い出した。

「これ、入部する前に握ったでしょう?」
「ええ…………、確か青色から赤紫色に変わりました」
「紫に近いほど魔力が強い事がわかるんだけど、魔力の量はそんなにないね」
「ハァ…………………」
 紫音の頭の中は全く理解出来ないまま話は進んでいくが、混乱は止まらない。

「クレヨン!!」
「は、はい!何でしょう?」
「話聞いてる?」
「聞いてます聞いてます」
「本当に〜」
 康太は紫音を覗きこむように顔を近づけると、紫音はウソがばれないよう、目を逸らそうとしなかった。

「まあいいや。ところで本当に帰っちゃうわけ?」
「はあ………………」
「そう……………、今日せっかく依頼があったから、これから一緒に行こうと思ったんだけど………」