それは予想だに出来ない出来事だった。
 紫音の記録、つまり同じクラスの誰とも話さない記録は何日も途切れているという快挙(?)。
 それはまるで運命の糸が新たに紡いだようで、人生が180度変化。
 しかも、話は挨拶だけではなく、引退した山岡ハウスの話を始め、恋の悩みやネットの噂、芸能人がどうたらこうたら。
 そのため、紫音は最近数学魔法部をサボり気味で、ここ最近顔を出していない。


「ねえねえ紫音、今日はどこ行くー?」
 新しく出来た友人は、軽いノリの女の子で、名前は赤生燕(あこうつばめ)。
 勉強が出来ないので、アホウトリならねアコウトリと言われているが、命名された本人はあだ名の由来を何故か知らない。

「今日?アコウのおごりならどこでも〜」
「ウチ金ないし」
「知ってるよ〜、両親は共働きですんごいでしょう?」
「それとウチ関係ないじゃん〜」