大島はあたしのベッドで、大の字になって爆睡していた。

あたしは可奈子の隣りで窮屈な思いをしたというのに。

―――おのれ……。

握りこぶしが震えた。

が、機長はシップの最高責任者。

拳を振り上げたところで、降ろすところがない。

―――あーあ……。

溜め息をついて、着替えを始めた。

―――なんだか疲れた。

可奈子のせいで、乗務はキツイし、自腹を切ったせいで、財布はすっからかんだし、人間関係面倒くさいし。

―――ああ。辞めたくなってきた。

航空会社の正社員になり、その上、趣味と実益を兼ねた画廊という居場所を見つけたせいで、最近なりを潜めていた『辞めたい病』が再び頭をもたげる。