リビングに戻る前に、キッチンへ寄って洗い物。

こうやって何度も席を外し、リビングから逃げ出していた。

ソファーに座ると必ず、悠斗が肩に手を回してくるからだった。

―――タケルが隣りにいるのに……。

居たたまれない思いをしているのに、どうすることも出来なかった。

異性に口説かれた経験のない私には、どうやって拒絶すればいいのかがわからない。

下手な言動をして、せっかく盛り上がっているリビングの空気を壊したくない。

―――助けてよ、タケル。

目で訴えても、タケルは知らん顔。