「お前、誰だっけ」

タケルが怪訝そうな顔をした。

いかにもマネージャーか店長のような風格のある男の人が横から口をはさんだ。

「コイツ、今、ウチでナンバーワン張ってる悠斗です。どうしてもタケルさんに会ってみたいって言うもんで」

「ふうん」

紹介された悠斗というホストを、タケルが無遠慮な目で見ている。

「俺もこういう子、タイプだな」

そう言いながら、悠斗が私の肩に腕を回してきた。

―――ひ、ひゃあっ。 

タケル以外の男の人に触られたことのない私は、心の中で悲鳴を上げていた。

無言で下から顔を覗き込まれ、ドキドキとした。

タケルとは違うタイプの、少し中性的な空気をまとった妖艶な美貌。

ミステリアスな瞳に見つめられて身動き出来なくなった。

「盗っちゃおっかなー、なんて」

悠斗が挑発するようにタケルを見る。

「やってみろよ」

タケルが平然と言い放つ。

―――嘘……。

唐突に突き放されたような気がして唖然とした。