「はい。全部、こちらのお客様が」

沢井が何食わぬ顔をして嘘をついた。

子供が泣きじゃくっていて喋れないのをいいことに。

―――ばか。これ、全部この子供が吐いたんだとしたら、致死量だよ。

「わ、私が……。私が吐きました」

あたしは仕方なく自分が吐いたことにした。

―――覚えてろよ、沢井。

「わかりました。関谷さん、あとでお話したいことがあります。ホテルに着いたら私の部屋に来てください」

「は、はい……」

―――最悪……。