「んん……っ」

キスだけでよがっちゃう自分が情けない。

唇を離したタケルが、じっと見つめてくる。

「やりたくなった?」

「う、うん……」

こうやって、必ず私の口から言わせる。

キスをせがむのも、抱いて欲しいって言うのも私から。

タケルは本当に私のことを求めているんだろうか……。

「や、やっぱり今日はやめとく」

初めて自分から『やめる』と言ってみた。

「ふうん」

タケルがあっさり立ち上がる。

その瞬間、もう激しく後悔している自分がいた。

タケルの方は、怒っている様子も残念がっている様子もない。

いっそ、押し倒してくれたらいいのに。

―――牛のくせに、ナニ贅沢なこと考えてんのよ。

美穂の声が聞こえた気がした。